新たな技術による新規ワクチンが及ぼすワクチン市場への影響は?mRNAワクチンが新型コロナワクチンとして承認

画期的なmRNAベースの技術を活用したモルデナ社のmRNA-1273、ファイザー/BioNTech社のBNT162b1が米国のみならず複数国で承認され、摂取が開始されています。このmRNAベースの技術を活用した新規ワクチンは新型コロナ感染症のみならず今後のワクチン市場へ大きな影響を及ぼすことが予測されています。調査会社Vaczine Analytics社の分析では、未だにワクチンが承認されていない、つまりワクチンが存在しない疾患は、67疾患に登るとしています。

20年間でFDA承認の「新規ワクチン」はわずかに7品目

ワクチンが存在しない疾患に対しての「新規のワクチン」の開発は、非常に難しいことは、過去20年間の間にFDAから承認された「新規のワクチン」はわずかに7種類だけです。最近では、エボラ出血熱、デングウイルス病、髄膜炎球菌病などを対象として新規のワクチンが承認されています。

成功率の低さも継続して高いワクチンへの投資と高まる関心

この成功率の低さは、新しいワクチンへの研究開発が少なくなっていることを反映しているわけではありません。VacZine Analytics社の調査によると、2014年以降に開始された約1000件の臨床試験のうち、約40%が新規ワクチンに焦点を当てたものです。つまり、新たなワクチンに関しての投資は未だに高いと言えます。

さらに、2020年初頭に出現した新型コロナウイルス感染症の世界的なパンデミックにより重要性が大きく高まっています。今回のパンデミックは、健康被害を軽減するためのツールとして、感染予防としてのワクチン接種の高い重要性を断言しています。新しい感染症によってもたらされる経済的な影響も非常に高く、ワクチンへの期待と関心が高い要因とも言えます。

有望視される画期的な新たな技術とその影響は?

新型コロナウイルス感染症のワクチンとして、画期的なmRNAベースの技を活用したモルデナ社のmRNA-1273、ファイザー/BioNTech社の
とBNT162b1が有望視されており、第3相試験を開始しています。(2020年7月30日現在 ー>その後承認)

プロジェクト開始からCOVID-19ワクチンのFDA承認までの予測されるタイムラインは、前例がなく、かつ業界アナリストの間で多くの議論を巻き起こしています。VacZine Analytics社は、特にmRNA技術をベースとした新しいCOVID-19ワクチンが、後期段階における臨床試験で有益な結果を出した場合、現在開発中の新規ワクチンの大規模な「淘汰」を予測しています。

より古い、伝統的なワクチン技術をベースにした既存の製品フランチャイズで展開している企業は、今後の競争の中で十分に競争優位を維持するために新製品の選択と優先順位を決めることが必要となることでしょう。

新しい技術をベースに優位性を獲得した企業が売上とシェアを伸ばす時代になり、その他のワクチン開発企業は、自社のワクチン評価、病原体や疾病の選択はこれまで以上に重要になってくるでしょう。

参照レポート

関連レポート

  1. ノロウイルスに対するワクチンへの期待と新型コロナの影響